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理科の合否を分けた一題

開成中入試対策・理科の合否を分けた一題(2021年度)

難易度分類

問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 A  問6 A問7 B  問8 B  問9 B
問1 A  問2 A  問3 B  問4 B  問5 B  問6 A
問1 A  問2 B  問3 B  問4 B  問5 B
問1 A  問2 B  問3 B  問4 B  問5 B

A…開成合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2021年度の開成は、難易度が高くなった昨年と同程度、例年に比べるとやや難易度が高くなっています。合格平均は54.1点(昨年度56.0点)で、例年60点前後であることを考えても、かなり低くなっています。全体平均も49.7点(昨年度48.1点)と低く、合格者平均との差が大きいことから、いかに厳しい戦いであったかがわかります。
本年度は、4分野から大問1題ずつ、偏りなく出題されました。

化学分野の問題は、水溶液の性質と実験器具についての問題。
地学分野の問題は、太陽と月の見え方と河川の水量の変化についての問題。
生物分野の問題は、生物の擬態に関する実験観察についての問題。
物理分野の問題は、てこのつりあいと重心についての問題。

化学と地学は、知識と条件整理が中心で、丁寧に取り組めば得点できる問題でした。後半の生物と物理は、かなり高度なデータ処理能力が求められており、点差が開く要因になったのではないかと考えられます。解答に必要なデータを選び取り、すばやく処理するとともに、最後まで考え抜く胆力が求められる内容でした。

問題構成は、4分野から大問4題、小問25問。
解答形式は、言語が1問、記号選択が15問、数字が6問。作図(グラフ)が1問でした。
言語は、時事問題に関連した知識でした。
数字は、やや難しい問題でした。
作図と記号選択の一部には、数的処理が必要な問題が含まれていました。

問題別寸評

(化学)Ⅰは水溶液の性質についての問題、Ⅱはメスシリンダーの使い方についての問題です。
水溶液の性質については基本的な内容ばかりでしたので、多くの受験生が正解できていると思われます。メスシリンダーの使い方は、良く出題される「数値の読み取り」だけでなく、洗い方や液体の移し方など多岐にわたっていたため、やや解きにくかったかもしれません。

問1

鼻をさすようなにおいがする液体のにおいをかぐときは、手であおぐようにして、空気と混ぜながら
かぎます。

問2

中学入試で出題される液体のうち、においがあるものは、鼻を刺すような刺激臭を持つ「塩酸」「アンモニア水」「酢酸水溶液」と独特なにおいを持つ「アルコール水溶液」になります。

問3

液性と指示薬の関係も、リトマス試験紙・BTB液・フェノールフタレイン液・紫キャベツの汁など、さまざまなものがありますので、全て確実におぼえておきましょう。赤色リトマス紙が青くなるのは、
アルカリ性の液体です。

問4

アルミニウムを溶かすのは「塩酸」と「水酸化ナトリウム水溶液」です。

問5

水を沸騰させると、中に溶けていた溶質が出てきます。溶質が固体の時は固体が残り、液体と気体の時は何も残りません。食塩水の溶質は固体の塩化ナトリウム、炭酸水の溶質は気体の二酸化炭素です。

問6

メスシリンダーの目盛りを読むときは、書かれている目盛りの1/10まで目分量で読み取ります。

問7

メスシリンダーやメスフラスコのように、「メス」がつく器具は目盛りが書かれており、ブラシを使って洗うと、ガラスに細かい傷がつき、体積が変化してしまいます。乾燥機を使うのも変形や割れてしまう原因となりますので、自然乾燥で乾かします。

問8

メスシリンダーから他の容器に液体を移すと、ほんの少しですが液体がメスシリンダーに残ってしまうため、移す前の体積よりも少なくなってしまいます。

問9

メスシリンダー内で溶液を混ぜると、化学反応により熱が生じる場合もあるため危険です。ビーカーに移す場合、問8の内容をふまえると、移す回数が少ないほど液体が残らず体積もほぼ同じ値を示すと
考えられます。

(地学)Ⅰは太陽と地球と月についての問題、Ⅱは河川の水量についての問題です。
太陽と地球と月は、月の満ち欠けと見える時刻・方角・高さに関するもので、基本的な知識を問う問題でした。河川の水量に関する問題は、水量が増加したり減少したりする理由についての仮説を立てるなど、普段見かけないような形式の出題でした。文章をよく読み内容を理解していくことが大切です。

問1

左半分が光っていることから下弦の月とわかります。

問2

下弦の月が真南に見えるのは朝方です。

問3

満月のとき、地球から見ると月は太陽と反対方向に位置しています。つまり、夏至の日のときの満月は、冬至の日の太陽と同じ位置関係になるため低く見え、冬至の日のときの満月は、夏至の日の太陽と同じ位置関係になるため高く見えます。

問4

会話文に適する語句を選ぶ問題です。太郎君は川の水の増減が原因と考えましたが、それでは急な水位の上昇は説明できませんでした。次郎君は水以外の要因について考えたと推測できます。問題の指示で「土砂」という単語を使うことから、土砂によって川の水がせき止められた→土砂が流れて再び水が流れるようになった、と考えられます。

問5

土砂崩れが原因とすると、Bに流れなかった水はCにたまるため、アからイの時間にかけて水位は上昇していったと考えられます。逆に土砂が流されBに水が流れるようになると、Cの水位は下がります。

問6

2020年7月の九州地方の豪雨の原因となった「線状降水帯」を答える問題です。開成には珍しく時事的要素の強い問題でした。

(生物)生物の擬態と、擬態に関する観察・実験についての問題です。
実験についての問題は、グラフから考察される内容を読み取る、大学新テストを意識した内容となっています。昨年は植物の葉に関するグラフ読み取り問題でした。2年連続して出題されており、今後も要注意と言えるでしょう。

問1

写真を見ながら擬態の効果を考える問題です。一般的には天敵に見つかりにくくするために擬態をする、というイメージがありますが、ハナカマキリのように獲物に見つかりにくくなり捕まえやすくする擬態や、ホソヒラタアブのようにハチに見せかけることで食べられにくくする擬態もあることを理解しましょう。写真と昆虫の名前が与えられているので、答えを選ぶのは難しくなかったと思います。

問2

グラフから読み取れる内容を選ぶ問題は、数字の細かさよりも、比べるデータ間の大まかなちがいに着目する必要があります。巻貝Cは巣内の個数が極端に多いため親魚が運んだことは読み取れます。巻貝Dは巣内に約40%、巣外に約60%と一見差があまりないように思えますが、問題文に「巣ができる前は、巻貝C、巻貝Dともにそれぞれかたよりなく分布していました。」と書かれていることから、
50%から変化したと考えるのが妥当となります。

問3

仮説を確かめるために行う実験内容を考える問題です。巻貝Cが多いため稚魚が魚Bに襲われにくい、という仮説を確かめるためには、仮説の逆である「巻貝Cが少ないため稚魚が魚Bに襲われやすい」という状況を作れば良いことになります。

問4

実験結果からわかったことをまとめる問題です。空欄が入った元の文章がわかりやすく書かれていますので、悩まず答えを選べたのではないでしょうか。

問5

実験結果から考察する問題です。「直接利益を得ている」の部分が何を指すのか、少し難しい問題です。こういう場合は消去法で考えましょう。巻貝Cは魚A、魚Bに食べられるわけではないので利益も損もありません。これは巻貝Dも同様です。魚Bは損をしている立場なのでこれも除外されます。では、
魚Aの稚魚が直接利益を得ているのでしょうか。問題文にも波線部(問3で答えた実験を行っても、実際には稚魚が生き残る割合は変わりませんでした)をもとに答えなさい、と書かれています。つまり、巻貝Cを運ばれても運ばれなくても親魚が護ってくれるので稚魚は直接利益を得ているとは考えにくいということです。ここから、直接利益を得ているのは魚Aの親魚とわかります。
では、どのような利益でしょうか。それは図2で攻撃回数が与えられています。ここから、「巻貝Cを運ぶことによって、攻撃回数が少なくなり、労力が減る」と考えられるわけです。

(物理)てこのつりあいについての問題です。
最後の大問は計算問題だけの出題となりました。設問自体が次の設問のヒント・誘導となっているため、考えやすかったと思います。一方で計算量が多く、十分時間を取って考えられたかがポイントとなった大問でもあります。

問1

太さが一様でない棒の重さ、重心の位置を答える問題です。基本的な問題でしたので、確実に正解したいところです。

問2

棒に重さがない場合のつりあいを考える問題です。下の棒のつりあいは難しくありませんので、すぐに答えが求められたでしょう。上の棒の長さ(イ)については、「棒の外側の端がそろうように」という条件を読み落としていないかがポイントです。単純に30÷2=15と求めてはいけません。

問3

複雑な形をつるしたときのつりあいを考える問題です。問題文のヒントがなければ難しい問題ですが、かなり親切に誘導されています。図9に示されたように6つに分割し、それぞれの重さを使ってつりあいを取ることで、エの長さを求めます。10cmの正方形の板の重さを1とします。
(5×2+15×3+25×1+35×4+45×3+55×2)=エ×15
エ=465÷15=31cm

問4

問3と同様に、複雑な形をつるしたときのつりあいを考える問題です。
問3の解き方が理解できれば、同じように計算式を立てることができます。上下に板が離れていても、支点からの水平方向で回転力は決まりますので、同じ列にあるものとして計算します。
(5×5+15×3+25×2+35×4+45×1+55×2+65×3+75×5)=オ×25
オ=985÷25=39.4cm

問5

合否を分けた1題で解説いたします。

合否を分けた1題

一見複雑に見える問題も、実は単純な問題と同じ解法が使えることがあります。今回もいきなり問5を
考えようとしてもかなり難しいのですが、問題3、4と誘導にしたがって解くことができたのであれば、
問5も同じ考え方を使って解けるのでは?と思えたはずです。
今回の入試問題においても、ここまでの問題の説明をしっかり理解し応用することができたかどうかがポイントになったと考え、合否を分けた1題としました。

問5

図11の円形の板も、問3や問4のように端から10cmずつ垂直に切り、6つの部分に分けます。
このときそれぞれの板の大きさ(面積)を求めることができませんので、穴がない半径30cmの円のうち、小さいものをア、中くらいのものをイ、大きいものをウとします。
大きい円板の面積(穴がない状態)を、30×30=900とすると、
(ア+イ+ウ)×2=900 → ア+イ+ウ=450 となります。
また、穴の部分の面積を10×10=100とおきます。

これをそれぞれ左端から5cm、15cm、25cm、35cm、45cm、55cmのところにつるします。
棒を右回りに回す力の大きさは、
5×ア+15×(イ-50)+25×(ウ-50)+35×ウ+45×イ+55×ア となり、
60×ア+60×イ+60×ウ-750-1250
60×(ア+イ+ウ)-2000
60×450-2000=25000 と求められます。
ひもが左回りに回転させる力は、カ×(900-100)=カ×800です。
これらが等しいので、
カ×800=25000
カ=25000÷800=31.25cm と求まります。
答え 31.25cm

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