雙葉中の社会では時事問題を糸口とした出題が増加傾向にあるといえます。
2012年度は3公民(政治分野)において「東日本大震災」を切り口とした出題がなされました。問2では日本赤十字社などへの救援要請の根拠となる法律「災害救助法」という突っ込んだ出題までありました。
2013年度において1で「国際情勢・国際社会の大きな変動」、「選挙」「税金」を切り口として細かな知識を問う出題がなされました。時事問題に関連する基本知識を問う問題です。
なかでも注目したいのは国際情勢・国際社会についての問題です。
問2(1)パレスチナ問題の説明としての正誤判定問題。
イ 大国同士の対立に巻き込まれて南北に分けられた国が戦場になった。
ロ 多くの言語・宗教が混じりあう地域で資源をめぐる紛争が続いている。
ハ 政府軍と反政府軍が国民を巻き込んで争いを続けている。
ニ 領土などをめぐり宗教の異なる二つの民族が争ってきた。
ホ 少数民族が大国の支配から独立を目指す運動を展開している。
ただ○○戦争や××紛争という言葉を知っているというだけでなく、国際紛争や民族問題の背景を正しく理解している必要がある問題でした。正解はニ。イは朝鮮戦争やベトナム戦争、ロはスーダン内戦、ハはシリア内戦、ホはチベット問題やチェチェン問題などがあてはまります。
問5EUに加盟していない国を選ぶ問題。
イ フランス ロ スイス ハ ドイツ ニ イギリス ホ ギリシャ
正解はロのスイスである。「永世中立国」であるがゆえに、たとえEUという形であってもどこの陣営とも連携しないというスイスという国のあり方について理解しておきたいところです。同じ理由でスイスは2002年まで国際連合に加盟しなかったという知識があれば推定できる問題でもあります。
また「世界地理」の問題にも注目しておきたいですね。
3問4は地球を南極上空から見て、南半球側に見える大陸を全て選び出す選択問題でした。高校受験では標準問題ですが、中学受験としては「直球の世界地理」問題はめずらしいものです。もし、今後もこうした「世界地理問題」が出されるとすると、雙葉志望者は対策が必要になるでしょう。
出題形式で注目すべきは2歴史分野の問13です。「ひらがなのくずし字」が三例併記されてあり、そのなかで一つの文字を現在のひらがなに直させる問題でした。例(ロ)が「にほんはし」だとわかり、例(ハ)の「きそば」に見覚えがあれば、答は「は」だとわかるはずです。
雙葉中の社会は正確な知識の定着が絶対条件になっています。
選択肢の文章の細かな部分で正誤判定する選択問題への対応力を高める必要があります。
新しい出題形式であっても、根本は正確な知識を定着させていることが重要です。
たとえ、時事問題そのものがそれほど出題されない年度であっても、時事問題を切り口とした関連事項が出題される傾向がありますから、たとえば「選挙」があったら「選挙や国会」などに関する基本知識をきちんと学習しておく必要があります。
まずは正確な知識の定着に努めた上で、秋以降に時事問題の傾向をチェックして、それに関連する分野の知識を学習していくとよいでしょう。