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理科の合否を分けた一題

雙葉中入試対策・理科の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

問1 A  問2 A  問3 A  問4 A
問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 B  問6 A
問1(1) A  (2) B  (3) A  問2 A  問3 A  問4(1) B  (2) B
問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 B

A…雙葉合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2020年度の雙葉は、例年通り、文章を読み解き、誘導に従って解いていく構成で、基本的知識と理科的な思考力を問う問題が中心でした。昨年度に比べ、小問数が大幅に減り、難易度も下げている印象で、時間的にも余裕があり、取り組みやすかったのではないでしょうか。

物理分野の問題は、電流の流れ方とはたらきについての問題。
生物分野の問題は、ヒトの関節に関する問題。
化学分野の問題は、油とその性質についての問題。
地学分野の問題は、日食に関する問題。

例年、高校配当単元からの出題があり、本年度は化学分野のセッケンに関する問題でした。ただし、これも例年通り、身につけておくべき知識は基本的なことで十分で、リード文にしたがってしっかり処理できればよいものでした。このような問題に対応するには、ふだんから文章を読み解く力と、理科的な思考力を養っていくことが大切です。また、身の回りのグラフや表に注目し、何を表し、どんな意味があるのかを考えるくせをつけておきましょう。
また本年も、雙葉特有の時事的な話題についてふれている問題が1問出されています。「月面着陸50周年」で、月面から見た日食について考えるものでした。

問題構成は、4分野から大問4題、小問33問。
解答形式は、選択肢が19問、記述が5問、数字が5問、言語が4問で、昨年あった作図がありませんでした。
選択肢の小問数は減少していて、例年並みにもどっています。
記述は、1行程度が4問、20字程度が1問。昨年と同様、どれも比較的書きやすい内容でした。
数字は、式を書かせる計算問題が2問ありました。

問題別寸評

(物理)電流の流れ方とはたらきについての問題です。
豆電球と発光ダイオード、乾電池と手回し発電機、コンデンサーを使った回路について実験を行い、発電と蓄電、電気のはたらきについて考える問題です。電流の向きにかかわらず光る豆電球に対し、乾電池、LED、手回し発電機、コンデンサーは、電気の流れる向きが、そのはたらきに関係します。条件整理をしっかり行いながら、実験の結果を推理していきましょう。特に難しい回路が出てくるわけではないので、手を動かして書き込みながら条件を整理することで、ミスなく解答できたのではないでしょうか。

問1

電流は、電池のプラス極から出て、マイナス極にもどります。実験1で、Cでは電流が流れ、Dでは流れていないので、このLEDには、長い端子から短い端子の向きに電流が流れ、逆向きには流れないことがわかります。

問2

図2のLEDのうち、dとhは、長い端子が電池のマイナス極につながっているので、電流が流れず点灯しません。さらに、dと直列につながっている豆電球cも点灯しません。

問3

実験3で、図3のCのLEDは点灯しているので、長い端子につながっている実線の導線が出ている側がプラス極で、点線の導線が出ている側がマイナス極です。

問4

(生物)ヒトの関節に関する問題です。
ヒトは脊椎動物で、筋肉によって関節を曲げたりのばしたりして、からだを動かすことができます。このしくみについて考える問題になっていますが、そもそも関節のしくみはそれほど複雑ではありませんし、導入部分も基本の知識だけで処理できたのではないでしょうか。

問1

ア 頭の骨は縫合といって、板状の骨がくっついてできています。もちろん、守っているのは脳です。
イ 骨が筋肉でつながっている部分ですから、関節です。よく聞かれる単語ですから、漢字表記でミスなく書けるようにしておきましょう。

問2

これも、基本の知識です。というより、自分のからだのことですから、当然知っているはずのことです。自分の意志で動かせる、手足などを動かす骨格筋や、肛門、舌、のどの筋肉、横隔膜を随意筋といいます。また、意志で動かすことができない、心臓を動かす心筋や、小腸などの内臓の筋肉を不随意筋といいます。

問3

背骨は、いくつかの骨が一列に並び、それぞれが関節でつながっていて、からだを支えると同時に曲げられるようにもなっています。また、背骨のある動物のことをセキツイ動物といいます。マグロはセキツイ動物ですが、カブトムシはセキツイ動物ではありません。

問4

ヒトの腕の骨は、肩からひじにかけて1本、ひじから手首にかけ2本あります。手のひらをかえす動きができるのは、このためです。

問5

文脈から、骨についている筋肉は、関節を動かすはたらきを担っているとわかります。ア~カのうち、一つだけ骨を動かすことができないつながり方をしているものがあるので、それを選びます。

問6

じゃんけんのとき、グーでは人差し指を曲げ、チョキとパーではのばす動きをします。図2で、指をまっすぐにのばすときは、外側のCがちぢんで、内側のDがゆるみます。また、指を曲げるときは、外側のCがゆるんで、内側のDがちぢみます。

(化学)油とその性質についての問題です。
本年度の高校配当単元からの出題です。導入では、セッケンの原料の1つである油について、密度やつくりに関連した問題になっています。

問1

ものの浮き沈みの問題です。
(1)水と油は混ざり合わず、油は水よりも軽いので、油は水に浮き、水は油に沈みます。
(2)示された式から、密度を求めるためには、液体の重さと体積を求めればよいとわかります。
①から、メスシリンダーの重さが122g。③から、エタノール50 ㎤を測りとったときに、メスシリンダーとエタノールの合計が161gとわかるので、エタノール50 ㎤の重さは、161−122=39(g)です。式に当てはめると、エタノールの密度は、39÷50=0.78(g/㎤)とわかります。
(3)液体の密度を比べると、食塩水>油>エタノール なので、上から順に、エタノール、油、食塩水になっている、オを選びます。

問2

食品が酸化すると、味が落ちたり、有毒な物質に変化したりします。酸化とは、空気中の酸素と化学変化を起こすことをさします。生活の知識として知っている生徒も多かったのではないでしょうか。

問3

組み合わせの問題です。グリセリンには、3つの脂肪酸が結びつくことができます。脂肪酸A、Bの組み合わせとしては、(A、A、A)、(A、A、B)、(A、B、A)、(A、B、B)、(B、A、B)、(B、B、B)の6通りが考えられます。

問4

→合否を分けた1題参照。

(地学)日食に関する問題。
2019年は、アポロ11号の月面着陸から50年。また、部分日食が2回観測されて話題になっていたので、対策していた生徒も多かったのではないでしょうか。

問1

天体の距離と見える大きさについての問題です。見える大きさを角度で考えると、見える大きさが同じとき、角度も等しいので、図形の比例の考え方を使うことができます。光の単元でも聞かれることがあるので、馴れておくとよいでしょう。

問2

太陽がぴったりかくれるときのスーパーボールまでの距離が、問1のときより近いので、太陽の大きさが月より大きく見えていることがわかります。この日に日食が起きると、太陽が月からはみ出して見え
る金環日食になると考えられます。

問3

見える月の大きさが変化するのは、地球から月までの距離が変化するからです。これもよく聞かれる問題です。記述ですが、しっかり書けるようにしておきましょう。

問4

月面から日食が見られるとき、太陽―地球―月の順に、一直線に並んでいるはずです。このとき、地球からは月食が観察できると考えられます。

問5

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合否を分けた1題

本年も高校配当単元から1題出されました。
油は、グリセリン1つに脂肪酸3つが結びついたものです。また、油の種類によって、結びついているグリセリンの種類が違っています。脂肪酸にはたとえば、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などがあります。ヒトが油を摂取したとき、消化によって、脂肪酸とモノグリセリドに分解しますが、この「モノグリセリド」は、グリセリンに脂肪酸が1つついたものです。つまり、脂肪酸2つとモノグリセリド1つになったものを、吸収することになります。
油に水酸化ナトリウム水溶液をまぜると、3つの脂肪酸がそれぞれ、水酸化ナトリウムのナトリウムが結びついて、セッケンができます。このときに同時にグリセリンができますが、こちらは食品添加物(甘味料や保存料など)として利用することができる物質です。
ここでは、このような詳しい知識は必要ありませんが、リード文をしっかり読んで、どのような処理を求められているのか、的確に把握することが重要になってきます。見慣れない図や、反応であっても、強い気持ちで取り組むことが大切です。

問4

過不足なく反応する量を見つけることができれば、難なく解答できるはずです。そのために、どの実験結果に着目すればよいのか、設問にしたがって処理するうちに見えてくるしくみになっています。
(1)水酸化ナトリウム水溶液250mLを使っている2回目、3回目、4回目に着目します。3回目かと4回目を比べると、できるセッケンの量が同じことから、水酸化ナトリウム水溶液250mLがすべて反応したときにできるセッケンの重さは9.24gとわかります。
(2)1回目、2回目、5回目の結果に着目します。混ぜた油の重さとできたセッケンの重さが比例していることに気づけば、しめたものです。(1)から、2回目で使用した水酸化ナトリウム水溶液は、十分な量であることがわかるので、油2.2gから作ることができるセッケンの重さは、2.31gときまります。水酸化ナトリウム水溶液250mLからつくることができるセッケンの量は9.24gなので、必要な油の最小量は、2.2×9.24/2.31=8.8(g)です。

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